【ヒプマイ感想】漫画「-Before the Battle- The Dirty Dawg」第5話:左馬刻様のイケメン&名台詞回。一郎の離反という展開は王道だが胸熱!
こんにちは。フリーランスですが仕事がなさすぎて、とうとう実家の妹(16)にニートと間違われました。すと子です。
さて! 先月号では休載だったので、2ヶ月待ってましたー!
「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」(講談社刊「少年マガジンエッジ」掲載)第5話!

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【ヒプマイ感想】漫画「-Before the Battle- The Dirty Dawg」第4話:とうとう出会った二人。左馬刻様、早く一郎を笑わせてあげて。
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ようやく一郎と左馬刻の絡みが見られるー!と思って楽しみにしていた第5話。
今まで、「借金取立てのバイトやってるなんて一郎じゃない……」「一郎が楽しそうにラップしてない……」とか諸々の不安を抱きつつ本作を読んでいました。
が、何この胸熱展開!
この出会いのために、これまでの鬱屈した一郎があったのね……。
前回までのあらすじ
男性主体の政治を否定する《言の葉党》クーデターから一年が経ち、武力による戦争が根絶された世界で、男たちはヒプノシスマイクを手に、限られた領土をかけて争っていた。
新しく区画整理された区域のひとつ、イケブクロ・ディビジョンは、紫藤百舌九率いる「天国ヘノ階段」と、碧棺左馬刻・白膠木簓率いる「Mad Comic Dialogue」の二大勢力に分かれ、彼らは不戦協定を結んでいた。
しかし、野心家の百舌九が協定を破り、子飼いのチーム「Naughty Busters」を表面上離反させ、「Mad Comic Dialogue」の領土を次々と奪わせていった。
「騙し討ち」という百舌九の戦法に疑問・不満を抱きながらも、山田一郎と波羅夷空却は、百舌九の指示通りに相手の領土に攻め入っていく。
「Naughty Busters」を迎え撃つ立場でありながらも、久しぶりに骨のある挑戦者の攻勢に、上機嫌な左馬刻。
そして西口の繁華街の領土を管理する「Back Wild」(帳残星・残閻兄弟)の、領民に対する傲慢・非情な態度に激怒した一郎が、空却と共に彼らを完膚なきまでに叩きのめした。
そのとき左馬刻と簓が駆けつけ、後に The Dirty Dawg を結成することとなる二人がとうとう対峙した。
左馬刻の格好良いところ①:プライドがある
さてさて、前回のラストで一郎と左馬刻がようやくご対面しました。
この時点で、彼らはお互いにただの敵対者です。かたや挑む者、かたや迎え撃つ者。
「追う者は追われる者に勝る」。これは挑戦者である一郎が、「Mad Comic Dialogue」のリーダーとしてトップに君臨する左馬刻に突きつけた、彼の信条です。
しかし左馬刻もかつては同じ言葉を胸に、簓と一緒に頂点を目指してきた男。だてに追われる側に回ったわけではありません。

トップとしての矜持。そして、獲った頂点を守り続けるためには、「挑戦者」でいた頃以上の実力と強い気概を持たねばならないという自覚。
それらを感じさせる印象的な台詞です。
空却の言う「権力に胡坐をかく者」の、まさに対極といっていい。
この左馬刻の男っぷりが、後に大勢を引き連れて登場する紫藤百舌九――つまり今の一郎が従っているリーダーの卑劣さと、好対照になっています。
百舌九の卑劣さと、一郎の葛藤
頂点を知った男たちに挑む一郎と空却。並以上のラップスキルを持ちながらも、やはり左馬刻と簓コンビには及びません。
しかし凄まじい精神力によって一郎たちは何度でも立ち上がります。その度に攻撃を返す左馬刻と簓。そして迎えた相打ち。やっぱ若さって偉大だわ。
「奴らも俺らと同じで精神が肉体を凌駕してる」(by 左馬刻)という説明には思わず笑いましたが。改めて、とんでもねー世界ですね。
さて、一郎は相打ちという結果に満足しなかったようですが、左馬刻と簓は二人の実力をすっかり認めました。いつの間にか周りにいたモブ(観客)たちも拍手を送るほどの白熱したバトル。
そして、彼らがバトルするように仕組んだ男・紫藤百舌九が登場します。
不戦協定を破ったことを責める簓に対し、百舌九は反論します。「Naughty Busters」は、自分たちとは(表面上)関係ないチームである、と。
百舌九の汚いやり方を承知の上で彼に従っている一郎を、なじる左馬刻。
この時の、侮蔑の言葉を浴びせられた一郎の表情、いいですねー。
正々堂々と闘ってくれた格上の相手からなんて、軽蔑されたくないに決まってる。にも関わらず、一郎には「弟たちと共に暮らすためのお金を得る」という目的があるから、それを叶えてくれる百舌九には従わざるを得ない。
目を閉じてただ黙っている一郎の表情には、やるせなさと、それでもこれが自分の選んだ道だから、と半ば諦めたような気持ちとが滲んでいます。
しかし、百舌九が左馬刻と簓に対してバトルをふっかけたことで、とうとう一郎も「恥ずかしくないのか」と待ったをかけます。
このバトル、百舌九自身が闘うわけではありません。闘うのは、彼のバックに控える大勢の黒服全員。
対する「Mad Comic Dialogue」は、消耗しきった左馬刻と簓の二人だけ。
そう、百舌九の真の狙いは、「Naughty Busters」にちびちび領土を奪わせて自身のテリトリーを広げることではなく、一郎たちをダシにして「Mad Comic Dialogue」の二人を引きずり出し、バトルで疲弊させたところに総攻撃をかけて、彼らの全領土を奪い取ることだったのです。
びっくりするほど汚いな!

ん? なんかこの展開、前にも見た……。
と思ったら、4チームをわざと闘い合わせて全員が消耗したところを狙おうとした帳兄弟(ドラマ・トラック「Don’t Play No Game That I Can’t Win」)と全く同じ手口じゃないですか~やだ~
こんな腐った男にも、一郎は従わなきゃいけない(と自分で思っている)んですね。従いさえすれば、対価(金)をくれるから。
左馬刻の格好良いところ②:相手の尊厳を認めてくれる
百舌九に黙って従おうとするも、苦しげな一郎。
その彼に、またまた左馬刻様が名言を投げかけてくれます。
「テメェの目的の為にテメェの魂を売ったら二度と元の自分には戻れねぇ」と。
譲っちゃいけない大事なモンもある、もっとプライドを持て、と教えてくれてるんですね。

イ、イケメンだぁ……(しみじみ)
相手の弱味につけ込んで無理やり従わせようとする、百舌九のようなみみっちさは皆無ですね。そんなことしなくても、左馬刻は天性のカリスマ性と実力を備えてるっぽいから、勝手に部下や仲間がついてくるんでしょう。
ドラマ・トラックで一郎が「昔のかっこよかったアンタ」と以前の左馬刻を評していますが。確かにこれはかっこいいわ。
だからこそ一郎は、「力で世界を従わせる」なんてことを言ってる現在軸の左馬刻の在り方が許せないんでしょうかね。
かつて自分が憧れた男――弱者の尊厳や自由を認めてやれるほどの懐の深さを持っていた昔の左馬刻。それを否定するような考え方を、よりによって左馬刻自身が抱くようになったから。
左馬刻が「力」にこだわるようになった原因は恐らく、
- 妹・合歓との離別
- 相方・簓との訣別(裏切り?)
こういう、過去の左馬刻にとって精神の拠り所となっていた人物たちとの別れかなーと思いますね。極道に入ったのも、「力」をつけるための手段かと。
何がどうなって今の左馬刻になったのか、気になるところですが。少なくとも17歳(18歳?)の一郎は、上記の左馬刻の言葉に救われ、魂の大事な部分までは百舌九に売らずに済みました。
一郎の離反、そして共闘へ
ラップする体力も残り僅かの状態で、百舌九とその従者たちに囲まれ、絶対絶命の左馬刻と簓。
しかし、彼らを庇うようにして、百舌九たちの前に立ち塞がる者がいました。左馬刻の言葉に目が醒めた一郎と、親友・空却です。彼らは百舌九に反逆し、左馬刻たちに味方することに決めました。
ここの展開、好きですわー。窮地に立たされながらも、笑って互いに拳を軽くぶつけ合う左馬刻と簓、そして一郎と空却。
特に、一郎たちはリーダーに逆らうわけですから、任されている領土も、発生する対価も、全て失うことになります。それなのに、一郎の選択に付いて来てくれる空却の友情ね。
過去感想記事で「左馬刻と簓に比べて、一郎と空却の関係性はやや希薄な感じがしますね」とか書いちゃってごめん、空却……。君は最高の親友やで。
第5話は、一郎が百舌九に三行半をつきつけたところで終わりました。
果たしてボロボロの4人は百舌九たちに勝てるのでしょうか。百舌九が吹っ掛けたバトルは互いの全領土をかけた闘いだから、一郎の離反にテンション爆上げした左馬刻が超回復を遂げて百舌九たちに圧勝し、イケブクロ・ディビジョンを4人で支配するのもアリだけど。
あるいは、このバトルでは負けといて、イケブクロに居場所がなくなった一郎と左馬刻が、乱数の誘いに応じて The Dirty Dawg を結成→ TDD の4人で百舌九を倒して領土を奪い返す、というのも面白そうです。
感想まとめ
左馬刻のイケメン具合と一郎の主人公度が天元突破した回でした。
ようやく魂を解放され、「自分のやりたいようにやる」ことを決めた一郎。彼が自分で選んだ仲間の中で、ラップバトルを楽しみながら心から笑える日が待ち遠しいです。
二郎・三郎との関係や、彼らとの生活の資金源をこれからどうするかも、気になるところですが……。
あと、「引っこ抜くぞ その煩い睫毛」に笑いました(笑)
「うるさい」と指摘されるほどの睫毛量って、実際どれくらいなんでしょうね?
すと子
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