【ヒプマイ感想】漫画「-Before the Battle- The Dirty Dawg」第8話:乱数の不穏な動き。簓と空却は退場の予感? そして過去編にもあの男が登場!

2019-11-20ヒプノシスマイク

こんにちは。最近一人ラブホを経験してしまい、「こりゃいよいよお一人様を極めたな」と思ったのですが、そう言えばまだ「一人居酒屋」だけは出来てませんでした。割と難易度高いよね、居酒屋。すと子です。

さて、講談社刊「少年マガジンエッジ」掲載の「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」! 5話後編~7話(百舌九・鳳仙によるテロ事件編)の感想はまだ書けていないのですが……。8話前編・後編を読んだので、そちらの感想を先につらつらっと書いていきます!

 

「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」track-8後編・表紙
(「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」track-8後編・表紙。「少年マガジンエッジ」2019年12月号より)

 

過去感想記事はこちらからどうぞ↓

ヒプノシスマイク感想記事一覧

 

「みんなボクの思い通り 邪魔なモノは遠くにポイ♪」――この文言と違わず、TDD結成に向けて乱数ちゃんが動き始めましたね。

一方で、百舌九と鳳仙によるイケブクロ・テロ事件が、山田三兄弟と碧棺兄妹にどのような影響を及ぼしたのかが、対照的に描かれていました。寂雷と衢くんのシーンもありましたし、全体的にメインキャラたちがバランスよく登場していました。

なので、ここから徐々にキャラ同士の関係だったり、感情だったりが崩れていくんだろうなぁ、とも思いましたね。

 

※本記事には単行本第2巻の、つまり山田三兄弟の過去についてのネタバレが含まれています。ご注意を!

 

前回までのあらすじ

武力による戦争が根絶され、《言の葉党》による女性中心の政治体制が敷かれたH歴。中王区の外に追いやられた男性たちは、限られた領土をかけて、ヒプノシスマイクを使って争いを続けていた。

そんな中、イケブクロ・ディビジョンを支配していたのは、金融屋の紫藤百舌九が率いる「天国ヘノ階段」と、碧棺左馬刻白膠木簓が率いる「Mad Comic Dialogue」。不戦協定を結んでいた両チームだったが、強欲な百舌九が領土拡大を企み、子飼いのチーム「Naughty Busters」を使って「Mad Comic Dialogue」を騙し討ちする。しかし、百舌九の卑劣さに反発した山田一郎波羅夷空却の離反により、百舌九の企みは失敗に終わる。

イケブクロ・ディビジョン全土を我が物にするために、百舌九は真のパートナー・鳳仙玄鳥と共に、一郎の弟・二郎三郎、左馬刻の妹・合歓を拉致。イケブクロのサンセットビルに立て籠もり、呼び出しに応じた一郎と左馬刻を脅迫する。無抵抗に攻撃を受け続け、絶体絶命の二人だったが、勘解由小路無花果から事情を聞いて駆け付けた飴村乱数神宮寺寂雷の登場により、窮地を救われることとなった。

 

「新生 Mad Comic Dialogue」に忍び寄る乱数の影

はい! というわけで、「新生 Mad Comic Dialogue」(一郎・左馬刻・空却・簓の四人)が8話前編で初お披露目となりましたね! 共闘自体は対百舌九戦でもあったけど。

もともと「金がない」という弱みに付け込まれて紫藤百舌九の下に甘んじていた一郎は、敵であるはずの左馬刻に矜持の何たるかを教えられ、さらに対百舌九戦において MCD と共同戦線を張ったことで、大人の汚い事情が絡まない、ラップバトルの真の楽しさも知ることができました

 

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そして左馬刻とは、テロ事件で百舌九・鳳仙によって同じ人質を取られた身として共に闘い、仲間意識の地盤も固まっていました。もともと左馬刻と簓は一郎と空却を見込んでおり、百舌九に反旗を翻したため居場所を失った二人を、自分たちのチームに誘っていたので、この四人が組んだのは至極自然な流れだと思います。

新ディビジョンが公開された今となっては、夢の共演ですよね。CD出してくんねーかな。B面とかでいいから(笑)

 

一郎は左馬刻の言葉や理念、ラップスキルに魅せられており、左馬刻も一郎には目をかけている。元々の相方とよりも、お互い仲良くなりつつある二人に、「空寂ポッセ」の乱数ちゃんが接触!

「空寂ポッセ」て! 「空」はどこからきたんだろう? てか乱数は「ポッセ」が好きだなー。「Fling Posse」=「志を共にする刹那の友」という意味らしいので(「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- side F.P & M」hook-3より)、乱数としては、たとえ何度チームを組んだとしても、それが中王区の意向に従った結果としての行動に過ぎない以上、「刹那的」なものである、という意識が強いんだろうか。まー楽ですけどね、「刹那的」な関係は。

それとも「刹那」である理由は、チームを組むたびに「飴村乱数」という個体が変わるから……?

 

はい、そんな乱数が一郎と左馬刻に持ちかけたのが、「自分と寂雷と一緒にチームを組まないか?」という提案。しかし、簓と空却を裏切るような真似はできない、と断る二人。そんな彼らに対し、「あの2人と組むより絶対面白いよ~」と素で煽ってくる乱数ちゃん。

TDD結成に必要なターゲット二人に、にべもなく断られ(というかキレられ)、彼らと離れた後にちらっと本性を見せます。

 

「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」track-8後編・乱数
(簓と空却、逃げてー。「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」track-8後編より)

 

しかしなー、やっぱ「新生 MCD」の解散には乱数と中王区が噛んでくるのか。予想通りすぎてなんか……。

 

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TDD結成のために、一郎と空却、左馬刻と簓が仲違いさせられて、今度はTDD解散のために、一郎と左馬刻の関係が壊されて(寂雷と乱数の関係はもっと複雑そうだ)、それらは全て中王区の意向によるもので……となると、何でもかんでも中王区の御心のままに、的な感じがして微妙だ。もっとキャラクターの反骨精神が見たいもんですわ。

 

あと、疑問に思ったんですけど。別に六人で良くない? 何がダメなんです?

今でこそ各ディビジョンの代表チームはそれぞれ三人ずつだけど、TDDは四人おりましたやん。じゃあ六人のラップチームもあっていいじゃない。簓と空却、仲間外れにしなくてもいいじゃない。

まー、だからこそ今の「どついたれ本舗」と「Bad Ass Temple」があるんだけどもさ。人数に意味はあるのだろうか?

 

イケブクロのテロ事件がもたらした、山田家と碧棺家への影響

過去編の1話の段階では、一郎と弟たち、左馬刻と妹の関係は、非常に対照的なものでした。山田家は険悪(弟たちが一郎を「クズ」「恥」呼ばわりしている)、碧棺家は良好(妹の誕生日を豪勢な手料理で祝うレベル)。

 

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しかしテロ事件によって、それぞれの兄弟仲に大きな変化が、あるいは亀裂がもたらされましたね。まずは山田家から。

 

山田三兄弟は無事和解か?

え、とんだ手のひら返しに見えるんですけど……。

 

そもそも二郎と三郎が長兄・一郎を軽蔑するようになったのって、前にいた児童養護施設で、安東保(あんどう・たもつ)園長先生を一郎(当時14歳)が取り立て屋仲間と共に、「金返せ」とボコボコにしていたのを、二郎(12)と三郎(9)に見られた、その時に誤解が生じたからなんですよね。

※山田三兄弟の過去編(書き下ろし)は、単行本第2巻に収録されています。感想記事もいずれ書くかもです~

 

本当に悲しい誤解なんですよ。山田三兄弟は、児童養護施設時代は本当にお金に苦しんでいた。だから、二郎と三郎は通っている小学校で、「親がいない」「貧乏くさい施設で暮らしてる」とからかわれ、一郎は傷ついてる弟たちを見て「豊かな暮らしをさせてやりたい」と切実に思った。そして、「園長先生に金を渡せば、経営難で苦しんでいるこの施設を助けることができる。施設が裕福になれば、弟たちも学校でいじめられなくて済む」と考え、金融のアルバイトに手を出し、紫藤百舌九の下で、心を殺して借金の取り立てに励んだ。

渡した金を、園長先生がキャバクラで全額溶かしている――それぞころか、自分を慕って金を稼いでくる子供たちを、彼が「金づる」としか思っていないとも知らずに。

 

二郎と三郎の事情と心情の流れに関しては、

  • 学校でいじめられたくない。
  • 二郎は兄だから、いじめっ子から三郎を守りたい。力の弱い三郎は、二郎がボコられるのを泣きながら見ていることしかできない。
  • 「いじめっ子に抵抗したから」という理由で、いじめっ子の兄(高校生くらい)が小学校にやってきて、二郎をリンチし始めた。見ていられない。だから三郎は、一郎からもらった小遣いを、いじめっ子の兄に渡してしまった。
  • いじめっ子の兄は味をしめ、度々二人を恐喝するようになる。
  • 「いじめっ子の兄=自分たちを搾取し、苦しめる側の人間」という図式が、二郎と三郎の中で完全に成立。
  • 園長先生が私欲を満たしていると知った一郎がブチギレて、取り立て屋仲間の鮫島と共に、「(今まで渡した分の)金返せ」と暴力を振るう。間の悪いことにそこに二郎と三郎が遭遇。さらに最悪なことに、その鮫島こそが自分たちを苦しめるいじめっ子の兄だった。
  • よって、「いじめっ子の兄とつるんで園長先生から金を奪おうとする一郎=悪」という図式が、二郎と三郎の中で完全に成立(彼らは何も知らずに園長先生を慕っていたので)。

 

ほとんど全部書いちゃいましたけど。

一郎は、「金を稼ぐための暴力」という手段が世間でまかり通っている(少なくとも自分はそれを実践している)ということを、弟たちに知られたくないから、弁解するのを諦め、誤解されたままでいることを選んだ。

彼が弟たちのために稼いだお金は、弟たちに回ることなく、園長先生と鮫島の私欲に消えたんですけどね。事情を知らない二郎と三郎が、一郎も鮫島と同じ、金のためなら平気で人に暴力を振るう側の人間、搾取する側の人間だと思い込んでもおかしくはない。

そう、ここまではすっごく自然だと思うんです! けど。

 

「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」track-1・二郎と三郎
(在りし日の姿。「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」track-1より)

 

その誤解によって生じた溝が、いくらテロ事件で一郎に助けられたからと言って、簡単に消えますかね……?

普通、誤解した側は、罪悪感やら申し訳なさやらで、しばらく相手に近づけなくなったりしません? どう接したらいいのか分からない。これまでの誤解を、傷つけた分を、どう償えば許されるのか分からない。そういう葛藤は、あってもいいと思うんですけど。

私なら、あんな笑顔で「兄ちゃん!」「一兄!」なんて呼べないわ~。ただただ申し訳なくて。

それとも描写がないだけで、そういうやり取りがあったんだろうか。一郎が笑って「今までのことは気にすんな」って。ありそう。だけど、ないとダメだろ、描写が。ただの手のひら返しに見えるから。

しかしほんと、一郎は仏のようですね。彼は「根に持つ」ということをしないのか。

 

そして、二郎と三郎は一郎を慕い始めた代わりに、一郎のことに関して何かと競い合うことが多くなりました。前は喧嘩もせず、仲良しだったのにね。

これもなー、まるで二人が兄弟仲を調整しているかのように見える。「今まで二人だけで仲良くしていてごめんなさい」みたいな。自分たちの関係を悪化させることで、一郎への贖罪を果たそうとしているように思える。歪だなぁ、と思います。

 

何はともあれ、鳳仙の逮捕により施設は解体。三兄弟は一緒に暮らし始め、和解成立、と見て良いのでしょうね。

 

碧棺家では、合歓の様子がおかしい

サンセットビルで、解放された二郎と三郎が傷だらけの一郎に泣きすがり、一郎も「無事でよかった」と頭を撫でている。山田三兄弟がほんわかした空気を出しているのに対し、碧棺兄妹は、今回のテロ事件で少し歯車が狂い始めた感じがしますね。

と言うより、潜在していた問題が、合歓の危機的状況によって表に出てきた感じ。

 

彼らの生まれ育った環境は非常に過酷です。父親の家庭内暴力にさらされ、母親はその父を殺し、自らも命を絶った。だからこそ左馬刻は、性格は暴力的であるものの、女と子供には絶対に手を出さないと決めてるし、恐らく両親の死後、妹の合歓をずっと守ってきたのも彼。

合歓も左馬刻の性格を理解しています。彼が暴力的なのは、守るものがあるせい。突き詰めれば、それは合歓を守るための暴力

 

山田三兄弟が、汚い大人の金銭欲の被害者であり、金に苦しみながら金を求めていたのに対し、碧棺兄妹は、肉親の暴力の被害者であり、しかし生き延びるために自らが力を身に付けることを必要としていた。これは決定的な差だと思います。

山田家の安息は、大人に汚されないところで、金に困らない生活を送れれば、ある程度は得られる(というか、幼い頃の渇きは癒されると思う)。だけど、碧棺家の安息は、たびたび脅かされる。他者からの暴力の存在を感じ取るたびに、かつて暴力を振るわれた過去が、妹を守らなければならないという使命感が、左馬刻自身に過剰なまでの暴力を振るわせる。悲しいけど。

 

テロ事件で百舌九と鳳仙をヒプノシスマイクで打倒した後、もう動けない状態でいた二人を、それでも左馬刻は蹴り続けましたからね。合歓はそれを見て、ゾッとしていた。左馬刻の暴力は一郎によって制止されましたが、あれは明らかに、「合歓を守るための暴力」の範疇を逸脱していた。合歓にとっては「理不尽な暴力」だった。

 

守らなければいけない存在=自分がいると、兄はダメになる。そんな風に合歓は思っていて、だから厳しい表情を左馬刻に向けていた。案外、兄妹の別離には合歓の意志も絡んでいるのかもしれない。今回読んで、そう思いました。

 

平たく言えば碧棺兄妹の問題って、左馬刻が妹離れ出来ていない、ということなのかな、と。

 

衢の身に危険を感じる

衢(よつつじ)くんは、育ての親である寂雷を慕いながら、診療所では彼の助手も務めていた青年です。寂雷と違ってラップはものに出来なかったようですが、空寂ポッセが今度戦うことになるチームの情報を綿密に調べ上げるなど、調査能力に長けている様子

その調査能力により、彼はこっそり乱数の経歴を調べていました。そんな衢くん曰く、

 

とてもまっとうな経歴でした……
まっとうすぎるんです……
まるで 作られた経歴のように……

※「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」track-8後編より

 

ん? デジャヴかな?

確かドラマ・トラック「Know Your Enemy side F.P VS M」で、乱数のことを調べているらしい幻太郎が、似たようなこと言ってましたね。

 

貴方のことを調べてみましたが、どうにも釈然としない
隙が全くないんですよ、貴方の人生には
普通、何かしら人間らしいエピソードが出てきますが
貴方にはそれがない
嘘っぽいんですよ、全てが

※「Know Your Enemy side F.P VS M」より

 

そして黒乱数によってメッ!されるわけですが。その時、乱数は「不愉快だ」と言ってるんですよね。

これって、過去に「飴村乱数」とは何者かを知ってしまった人間を消してしまい、それが結果的に乱数にとって嫌な出来事だったから、同様の行動に出ている幻太郎に釘を刺したのかな、と思いました。

 

つまり、

  • 「飴村乱数」の正体に繋がる情報を得た衢は、乱数(か中王区)によって消されてしまった。
  • 乱数にとっては、衢は必要なターゲットでないにせよ、親しい人物だし、寂雷の助手だし、彼を消すことは本意ではなかった。
  • あるいは衢に対しては特別な思い入れがなかったとしても、彼を始末したことで、寂雷との関係が破綻してしまった。=乱数にとって不愉快な結末を迎えた。

こう予想してしまいました。

とにかく、このままだと衢くん危ないよな、と思います。簓や空却と違って、彼、現在軸にまったく顔を出してないし。ディビジョンバトル決勝戦の際、簓たちと一緒に観客席にいたという「寂雷の関係者」が、衢であるという可能性も、なきにしもあらずだけど(まー天国獄だと思いますがね)。

 

感想まとめ

ラストで出てきましたね! AMAYADO!!

中王区から10億円(!)もらってたみたいだけど、何の報酬だろう?

「新生 MDC」、めっちゃ楽しそうにラップしてるのに、彼らの関係がこれから裂かれるのかと思うと、なんかなー。しかもただの解散ならまだしも、簓はオオサカへ、空却はナゴヤへ飛ぶ(帰る?)んでしょ。いったい何が起こるというのか。

左馬刻と合歓の関係も心配ですね。一郎は弟たちが待つホームを構えられたからいいけど、左馬刻はこれから簓もいなくなるし、恐らく合歓もいなくなるから……。

乱数だけじゃなく、天谷奴がどう暗躍するのかも楽しみですわ。

すと子