【ヒプマイ感想】漫画「side B.B & M.T.C」第6話:二郎と三郎、連携の勝利! ヨコハマでは理鶯の過去を知る男が登場。
こんにちは。溜めに溜めた帳簿をつけてたら、ドライアイが悪化しました。もう自力で涙を流せない。すと子です。
さて、講談社刊の「月刊少年シリウス」掲載の、「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- side B.B & M.T.C」。こちらも読みっぱなしで放置していたので、感想をどんどん書いていきたいと思います!

前回の感想記事はこちら↓
【ヒプマイ感想】漫画「side B.B & M.T.C」第5話:二郎と三郎に足りないもの。早くもバスブロに危機!
過去のヒプマイ感想記事はこちらからどうぞ↓
ヒプノシスマイク感想記事一覧
さて、今回は
- 卑劣な手段によりヒプノシスマイクを奪われた二郎と三郎が、連携してマイクを取り戻す
- 今まで謎だった理鶯の過去が明らかに……?
の二本立てでした。特に、二郎と三郎が可愛かった。
「でかい背中を見て育った俺が この背中を預けられるのは ただ一人」と表紙のコピーにもありますが、きっと二郎にとって、何の遠慮もなく背中を預けられる相手は三郎なんでしょうね。前回の表紙と対になってて可愛いわ。
山田三兄弟は、金やら大人の汚い事情やらで幼い頃から本当に苦労しているので(関連記事:【ヒプマイ感想】漫画「-Before the Battle- The Dirty Dawg」第8話)、関係性がだいぶ複雑ですね。
二郎と三郎が一郎に懐くようになったのも、ここ1~2年の話。そして一郎に懐くようになってから、彼らは何かにつけて競い合うようになった。つまり、仲の良かった期間で言うと、二郎と三郎の方が圧倒的に長いわけですね。だから、安心感だけで言うならこの二人の方が強いんだと思う。
そして! 今まで謎のサバイバーだった男・毒島メイソン理鶯の過去が、ようやく繙かれ始めましたね。
前回までのあらすじ
H歴3年。武力による戦争が根絶された世界で、暴力に代わって言葉が武器となり、男たちはヒプノシスマイクを使って限られた領土をめぐり、争っていた。
伝説のチーム・The Dirty Dawg の元メンバー・山田一郎は、来たるディビジョン・ラップバトルに向けて、弟の二郎と三郎と共にチーム「Buster Bros!!!」を結成。一方、一郎と犬猿の仲にある碧棺左馬刻は、警察官の入間銃兎、元軍人の毒島メイソン理鶯と共に「MAD TRIGGER CREW」を結成。それぞれラップバトルの本選出場への進出をかけて、各ディビジョン選抜の予選へと進んでいった。
しかし、イケブクロ・ディビジョンにおいて本選出場の最有力候補と見なされていた「Buster Bros!!!」に、思わぬ穴が見つかる。それは、日常的に喧嘩の絶えない二郎と三郎の連携が全く取れていないこと。彼らの協調性のなさはラップにも表れ、一郎は「このままだとチームの解散も考えなければならない」と激怒。
焦る二郎と三郎のもとに、中王区からの派遣員を名乗る女性たちが現れる。彼女らは、二人のヒプノシスマイクが故障しており、本調子で戦うためには修理が必要である旨を告げ、二郎と三郎のマイクを預かって消えていった。しかしそれこそが、予選決勝の相手チームが優勝候補の「Buster Bros!!!」に放った罠であり、二人は奪われたマイクをなんとか取り戻そうとするのだが……。
情報収集と攻撃で、見事な連携を見せる二郎と三郎
二郎の持つ情報網の広さと、三郎の調査能力
痛恨のミスにより、予選決勝前にヒプノシスマイクを奪われてしまった二郎と三郎。「一兄に迷惑はかけられない」と、二人だけで解決することに決めます。
そこでまずは、二人からマイクを預かった、自称・中王区派遣員の女性二人の素性を洗い出すわけですが。
良かったのが、本作第1話で二人が「バスブロ」加入をかけて競争するために活かしたそれぞれの得意分野を、今回は協力という形で組み合わせて用いていた点ですね。
関連記事:【ヒプマイ感想】漫画「side B.B & M.T.C」第一話の同人誌感がすごいんだけど
二郎はコミュニケーション能力の高さを活かして、普段から幅広い人脈づくりに尽力している(特に強力な味方が、シンジュク・ディビジョンの情報屋・安僧祇 潤(あそうぎ うるみ))。かたや三郎は、中学生離れしたインターネット・スキルで闇サイト「プランドラー」にアクセスし、個人情報を集めることが可能。
この二人の得意分野を組み合わせることで、二郎が潤にざっくりした情報を聞く→その情報を取っ掛かりにして、三郎が対象者の人間関係や居所に至るまで、詳細な情報を「プランドラー」で割り出す、という連携が可能になるんです。

潤姉さん、気になってたから再登場嬉しいですわ。こういう頼れる情報屋キャラ好き。
ちなみに、「潤に頼めば必要な情報は全て手に入るんじゃ……」とか「『プランドラー』って中王区の支配下にあるサイトじゃないか」とか、そういったツッコミは野暮ってもんです。情報収集の段階から二人は無意識に協力していた。その事実が重要なんです。
ラップの連携=韻を合わせること?
そうして掴んだ相手チームの根城に行くと、すでに敵は不戦勝の祝杯をあげていました。三郎はその様子をこっそり窺いながら出方を考えますが、激情家の二郎は怒りに任せて正面突破。
しかし、マイクを奪われたままの二人は敵からの攻撃になす術もなく、ヴァースを受け続けます。

そこで、窮地に立たされた二郎が見せる、例の「お兄ちゃんスキル」が発揮されます。自分が囮になって敵の攻撃を引き受けるから、その間に俺らのマイクを探してこい、お前の方が探し物得意だろ、と。
三郎は二郎の覚悟を知り、マイクを探しに一人飛び出します。彼が戻ってくるまで、ヒプノシスマイクの攻撃に耐え続ける二郎。
やっぱり、今は一郎をめぐってライバル関係にあるとは言え、幼少期~思春期のつらさを分かち合ってきた彼らの信頼関係は伊達じゃないですね。
そしてマイクを取り戻した二人による、反撃のヴァースがこちら。
〔二郎〕
否が応でも鼓膜破るイヤーフォン
萬屋たるマイクロフォンのキラー業
〔三郎〕
鏡割れるまで己を省みたらどう?
這いずり廻れよ 血まみれのミラーボール
〔二郎〕
断罪するぜ 汚ねえ乱反射
死刑しかねぇ 病気(ill)な裁判官
〔三郎〕
煮るのも焼くのも 俺らの判断だ
なんか言えよ これは最後の晩餐だ※「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- side B.B & M.T.C」verse-6より
韻を踏んでる部分、太字にしてみました。韻の連携が取れてますね。過去編のイケブクロ・テロ事件でTDDの四人が初共闘した際にも、韻を揃えていましたが、これが相手にダメージを食らわす連携の条件なんでしょうかね?
まぁ、一郎は連携なしに一人で相手をKOさせていたので、連携以外にもワード自体の攻撃性など、色々な強さがあるのでしょうが。いまいち強いラップとそうでないラップとの違いが分からない。
予選の時とは段違いの強さを見せつけた二郎と三郎。そんな弟たちを、一郎は窓の外からこっそり見守っているわけですね。山田三兄弟の過去を考えると、この距離感は切ないけど、長兄への過度な依存を防ぐためにも必要な距離なんだろう。
ふと思ったけど、三郎に関しては、一郎離れするより二郎離れする方が難しそうだな。彼にとって、二郎の存在は空気みたいになってる気がする。そこにあるのが当然すぎて普段は有り難さを意識しないけど、いざいなくなったら困る、みたいな。
理鶯の過去を知る男・頸木が登場
場面は転じて、ヨコハマ・ディビジョンへ。予選を前にして打ち合わせをしながらも、余裕をかましている左馬刻。そんな彼がふと理鶯に、昔の仲間の所在について尋ねます。

理鶯曰く、彼はもともと特殊任務部隊に所属していたとのこと。その部隊は、軍の様々なポジションから人が集められており、部隊の存在自体が秘匿されていたので、構成員の軍籍はそのままにされていたらしい(理鶯は海軍のまま)。
え! Freaky な NAVY(海軍) は形だけだったんかい!
そして、その部隊のトップに立っていたのが、彼が尊敬する上官・五百雀(いおじゃく)少佐。五百雀は部隊のメンバーを助けるために、(軍解体時に?)「特別刑務所」に収監された。今でも五百雀少佐を慕う気持ちに、構成員全員変わりはない。
ちょ、浮世離れしたサバイバー感の強かった理鶯が、一気に人間臭くなったよ。これコミカライズで済ますんか(笑)
二人に過去を打ち明けたことで、五百雀少佐のことを改めて思い出す理鶯の前に、軍服姿の男・頸木(くびき)が現れます。「くびき(=軛)」って「自由を束縛するもの」って意味があるので、理鶯を軍人時代の絆に縛り付ける過去の象徴として、描かれていくのかなーと思います。M.T.Cは予選前の大事な時期だけど、厄介事に巻き込まれたりするんだろうか。

にしても、口を噤んでしまった理鶯のことを、「人には触れられたくない過去があるだろう」とさりげなくフォローしてくれる銃兎さん、大人だわ。ドラマ・トラック「Somebody Gotta Do It」を聴いた後だと、なおさら彼の気遣いが沁みますね。
「Somebody Gotta Do It」
感想まとめ
今まで天然ジビエ料理人のイメージしかなかった理鶯の過去が、まさかコミカライズ版で明かされるとは。
しかし、ドラマ・トラックでも理鶯だけなぜか「ヒプノシス・キャンセラー」の存在を知ってたし、そもそも彼が持っているマイクはプロトタイプで、他のマイクよりも精神干渉能力が強いものだし、よく考えれば中王区が権力を握るまでの物語に割と深く関わっていそうな要素満点なんですよね。
それにしても、《言の葉党》が政権を握っている時代に、軍服を着て街を闊歩するのって大丈夫なんでしょうか。廃刀令の敷かれたご時世で刀を佩いて肩で風を切るようなもんじゃないの。
すと子
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