【微閲覧注意】昆虫料理を食べに行った話

2018-11-06グルメ・酒

こんにちは。「食欲の秋」という免罪符を手に入れたことだし、日々炭水化物と脂質の摂取に精を出しています。すと子です。

もう終わってしまったのですが、以前、高田馬場にあるジビエ居酒屋「獣肉酒家 米とサーカス」で開催されていた「未来の食卓・昆虫料理」フェア第三弾(8月1日~9月30日)に行ってきたので、その振り返り感想を書きます。

昆虫食が未来を救う

2013年、「国際連合食糧農業機関」(以下FAO)が『食品及び飼料における昆虫類の役割に注目する報告書』食品安全委員会による要約・情報はこちら)を提出したことで、昆虫食への注目が高まりました。

FAOの公式サイトはこちら(英語)

昆虫食のメリットについて分かりやすくまとめた資料がこちら

つまり、

  • 2030年には90億人の人類を養わなければならない。
  • それだけの動物性タンパク質への需要をまかなうのに、現行の家畜生産、エネルギー生産体制だときつい。
  • 昆虫は栄養価が高く、その上、牛肉を1キロ生産するのに8キロもの飼料が必要なのに対し、昆虫肉を1キロ生産するのに必要な飼料は2キロと、他の家畜に比べて養殖にかかるコストが低い。
  • 現在でも世界中で20億人もの人々が昆虫食を生活に取り入れているので、抵抗感という観点においてまだマシ(?)。

人類は増えすぎたんや……。

でも、日本の一部地域でも、イナゴの佃煮とか食べますもんね。

 

そういや一時期「ユーグレナ」が話題になったな

東大発のバイオベンチャー企業・株式会社ユーグレナ。以前、話題になりましたよね。「万能食とはいえ、虫を食うのか」と。

ユーグレナ(ミドリムシの学名)は、植物と動物両方の性質を持った微細藻類なので、「ミドリムシ」と言っても昆虫とは全く別物なんですね。光合成するし。

そのユーグレナは59種類の栄養素を保有していて、その高い栄養価を利用して、クッキーなどの食品や化粧品を作ったりしているらしいです。

昔、興味があってユーグレナ・クッキーを食べましたが、普通のクッキーで普通に美味しかったです。少し緑がかっていただけで。

 

昆虫料理の世界へようこそ

写真は何枚か撮ったのですが、緊張と興奮のせいで店員さんに掲載許可を頂くことにまで気が回らなかったので、以下、「いらすとや」の可愛らしいイラストと、すと子の説明でお楽しみください~。

なお、「米とサーカス」さんの公式サイトに昆虫料理のメニューが掲載されているので、興味のある方は、詳細についてはそちらをどうぞ(ガチの虫が載っているので閲覧は自己責任でw)。

 

前菜:昆虫6種食べ比べ

違う味(昆虫)を、ちょっとずつ楽しみたい。そんな欲張りさんや、昆虫食の初心者にオススメなのがこちらの料理。迷わず最初に頼みました。

6種類の内訳は、下記の通り。

  1. イナゴ
  2. 蜂の子
  3. コオロギ
  4. 蚕のサナギ
  5. ゲンゴロウ
  6. タガメ

これらが大皿に載っておりました。説明書付きという親切さ。

ちなみに、上記は皿に載っていた順番に基づくランキングではありません。何によるものかというと、味と難易度(個人差あり)です。

 

イナゴ

イナゴのイラスト
(イラストが結構リアル…)

 

これはもう、さすが郷土料理になっているだけあって、美味しく頂けました。

醤油とみりん、砂糖で甘く味付けされていて、形状もあまり虫っぽさがなかったです。ちょっと足の存在感があるくらい。普通に白米が欲しくなる味でした。

 

蜂の子

蜂の幼虫ですね。これも甘めで美味しかったです。

サイズも形状も似ているし、柔らかくて甘い米粒、という感じでした。箸休めにちょうどいい。

 

コオロギ

イナゴに少し似ていましたが、イナゴより若干硬めで、虫っぽさがありました。それでも全然いける。折り畳まれた足も、まあアクセントですよ。

 

蚕のサナギ

うーん……(もぐもぐ)、うん、まだいける!

親指の爪ほどの大きさなのですが、すごく柔らかいというか、へにゃっとしていて。その「へにゃ」を噛むたびに、恐らくこのサナギが育ったであろう木箱の匂い?みたいなのが、鼻の奥にふわりと広がりました。

ここにきて、昆虫感というものをようやく実感しました。

昆虫感って、形とか殻の硬さとかじゃないんですよ。

昆虫を噛んだ瞬間に、その昆虫の生育環境・食事環境がダイレクトに伝わってくる(主に木の匂いや味)。これこそが昆虫感なんです。

ちょっと気持ちの余裕がなくなってきました。

 

ゲンゴロウ

「虫やーーん!」

一緒に食べた友人と共に発した第一声がそれです。

他と比べて丸いフォルム、硬い殻。もう完全に虫でした。いや今まで食べていたのも虫なんですけど。

それにしても、殻が硬いわりには中身は結構スカスカでした。

これはふたつだけだったので、二人でひとつずつ食べて、微妙な面持ちのまま終了させました、ゲンゴロウタイム。

 

タガメ

いやいやデカいわ。

優にコオロギの4倍はある。というか見た目がゴ××リに似てる……しかも割と成長した、都会とかでたくましく生きてる方のやつ……。

まさかこのデカいのにかぶりついて食べるのだろうか? 震える手で説明書を開くと、そこには懇切丁寧に「タガメの解体の仕方」が。皿の上に載ってる小さなハサミって、これに使えってことだったのね~。

なんか妙にアドレナリンの出ていた私が、率先して解体しました。まずは裏返したタガメの尾の先を切って、尾の方から腹、胸へとハサミを入れ、最後は胸を切り開いて終わり。

可食部は少なかったように思います。主に食べられた部分は、頭と胸の部分、つまり上半分。

例えて言うなら、食感はサバの塩焼きのポソポソした感じ。味は、芳香剤の原液をやや薄めた感じ。芳香剤、飲んだことないけど。

要するに、ビジュアル・味ともに、超絶強烈でした。

 

イナゴ<蜂の子≦コオロギ<<蚕のサナギ<<<ゲンゴロウ<<(ウォールマリア)<<タガメ

すと子の感想はこんな感じでした。

 

ポワソン:セミの親子串揚げ~抜け殻付き~

セミのイラスト
(夏にはあんなに鳴くのにね。卓の上だと大人しい)

 

ちょっとオシャレな感じにしようと思って「ポワソン」と付けちゃいましたが、実際は昆虫6種と並行して食べました。

メニュー名通り、上から順番に、

  1. セミの成虫
  2. セミの幼虫
  3. セミの抜け殻(道の上によく転がってるやつ)

これらが串にぶっ刺され、カラッと揚げられておりました。

 

セミの成虫

予想に反して、これが一番美味でした。しかも、頭が一番おいしい。例えるなら、鶏のムネ肉の蒸し焼きみたいな。頭は少ししょっぱくて、味がありましたし。

胸から腹にかけては、徐々に味が薄くなっていきました。生きている時にはミンミンうるさい羽も、口の中では大人しかったです。羽を食べている、という感じもなかったです。

 

セミの幼虫

勝手にカシューナッツみたいな味を想像していたせいか、期待を下回る味でした……。

成虫より味が薄く、しかも、前述した昆虫感が、成虫よりも強かったです。幼虫の方が、ピュアな体をしているということでしょうか。

 

セミの抜け殻

これは薄い塩味のフィルムを食べているような感じでした。抜け殻に栄養ってあるのだろうか?

 

ヴィアンド:ジャイアントミールワームの和風チヂミ

まあしかし、正直言うと、ここまでは余裕がありましたよ。

唯一タガメが難敵だったね、けどタガメを倒したし、もう割と何でもいけるんじゃない? と謎の無敵感がありました。

「デザートには、蟻の卵と蜂の子の2層ゼリーでも食べようか?笑」とかのたまっていました。

昆虫6種とセミの串揚げを平らげた私と友人は、そこでふと思いました。

「腹が膨れてない……」

「昆虫のおかげできっとタンパク質はたくさん摂取できただろうけど、そろそろ炭水化物も食べたいな……」

そしてメニューを見ました。炭水化物系だと、「地蜂チャーハン」と「ジャイアントミールワームの和風チヂミ」が。

メニューの写真を見て、私たちは迷わずチャーハンを注文しました。しかしチャーハンは本日終了とのこと。

そこでもう一度写真を見ました。謎の無敵感を抱いていた私たち(というか私)は、静かにチヂミを注文しました。

そしてチヂミはやってきました。店員さんの、

「私、これだけは食べてないんですよ~。だって、モロ虫じゃないですか、見た目が(笑)」

という言葉と共に。

いや今まで頼んだやつだってモロ虫やったで……と思いながら、チヂミに視線を落とすと、ミールワームが予想以上にジャイアントでした。

長さは手の人差し指くらい。直径は5ミリ~8ミリほど。そして体の繋ぎ目のような、あの線。あれがくっきりと何本も。

モロ虫やんけ!

そのミールワームが、20匹ほど、重ねられたチヂミの上に散りばめられていました。チヂミの表面と一体化しているものもあれば、完全に独立して皿の上に転がっているものあり。

まずは純粋にミールワームを味わってみようと、チヂミやチヂミのタレには目もくれず、あの細長いやつに箸をのばしました。ひょっとしたら逆に美味しいかもしれないし。

噛んだ瞬間、この上ない昆虫感……!

咀嚼から嚥下までここまで時間がかかったのって、たぶん乳幼児期以来だと思います。

もう本当に心底、木の匂いと味しかしない。「木だったら全然いいじゃん~森林浴的な、マイナスイオン的な感じじゃん~」とか思われそうですが、feat. ミールワームの食感ですからね。もう完璧に虫なんですよね。

チヂミが予想外に薄味で、ミールワームの昆虫感は全くもって消されませんでした。昆虫料理を楽しむという主旨に沿っているので、それが正しいんですが。

途中、ミールワームの味と匂いを消したくて、帰りの電車のことなど考えずにニンニク酒を頼んだのですが(おいしかった)、そのニンニク酒でさえ歯が立ちませんでした。

けど、きちんと完食しました。皿の上に転がっていた、頭だか腹だか分からない欠片も残さずに!

食べ終わった頃には憔悴しきっていましたが(笑)

メニューに「徳島大学養殖コオロギ掴み取り」なんて楽しそうなのがあったので、このラスボスに立ち向かう前は、「これもやってみたいね~」とか言っていたのですが。完全にその気を殺がれてしまいました。無念。

コオロギのイラスト
(掴み取りできなかったコオロギ)

 

そして私たちは、「デザートに」と話していた、蟻の卵と蜂の子の2層ゼリーを頼むことなく、お会計を済ませました。その足でサイゼリヤに行き、口の中に未だ残るミールワームの存在を、ハンバーグやケーキなどで消したのでした。

 

結論

人口問題が切実なのは百も承知ですが、私は昆虫を食べたくない……。これが、実際に昆虫料理を食べて行き着いた私の結論です。

牛とか豚とかを食べていたいです。ワガママだし、それが叶わなくなれば、仕方ないのだけど。

でも、とても良い経験になりました。自分にとってどの昆虫が美味しくて、どの昆虫だけは食べたくないのか。知ることができました。

もし近い将来、家畜が減り、慣れない昆虫食に人々が混乱して「逆にミールワームとかいけるんじゃない?」などと言い出したら。私はそれを横目に見ながら、全力でイナゴの捕獲に向かいますね。

 

「米とサーカス」、色々と珍しいお肉やお酒があったので、今度は薬膳鍋とかジビエ料理とかを食べに行きたいです。

すと子