【ヒプマイ感想】公式の漫画版が「解釈違い」と話題らしいので、実際に読んでみた

2018-12-22ヒプノシスマイク

こんにちは。妄想している時が人生で二番目に幸せです。すと子です。

さて、以前からファンをざわつかせていた「ヒプノシスマイク」三誌同時の公式コミカライズ企画

その内、TDD時代(過去編)を描いた「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」を掲載する「少年マガジンエッジ」2019年1月号が、12月17日に発売されました。

 

関連記事:【ヒプマイ感想】漫画「side B.B & M.T.C」第一話の同人誌感がすごいんだけど

関連記事:【ヒプマイ感想】漫画「side F.P & M」第1話:独歩と一二三は末永くお幸せに。寂雷先生はメンバー思案中。

感想記事は順次更新中
ヒプノシスマイク感想記事一覧

 

※ちなみに「side B.B & M.T.C」12月26日発売の「月刊少年シリウス」2019年2月号から、「side F.P & M」12月28日発売の「月刊コミックZERO-SUM」2019年2月号から連載スタート。

 

しかし、多くのファンにとって「思ってたのと違う」感が強かったらしく、雑誌発売当日には「解釈違い」というワードがツイッターでトレンド入りしたらしいです。

 

参考記事:「ヒプマイ」コミカライズで「解釈違い」 ファンの間で激論続く

 

そんなの言われたら気になりますわな。ということで、漫画雑誌とやらを十数年ぶりに購入して、実際に読んでみました。

しかし紙版の在庫がどこも皆無らしいので(メルカリでは、安くて定価の倍くらいの値段で売られている ※2018/12/22時点)、電子書籍(Kindle版)を買って読みました。

 

結論として読後の感想は、

  • キャラクターの意外な過去と設定が知れたので、楽しかった(小並感)
  • 第一話で、H法案が可決して西暦がH歴に変わった日(つまり女が政権を奪い、日本という国が根本的に変わった日)が描かれているので、ヒプマイの世界観を知りたいなら読むべき

というわけで、悲嘆や落胆にはまでは到りませんでした。そもそも、過去と現在でキャラクターの性格や信念が変わるのなんて当たり前だしね。生きてたらそりゃあ変わるわさ。これが現在編となると話は変わってくるけどね。

 

しかし「マジで!?」となった点はいくつかあったので(特に山田三兄弟)、それらを中心に感想を書いていきます!

あ、以下ネタバレもあるのでご注意を!

 

基本情報

「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」
原作:EVIL LINE RECORDS
漫画:鴉月ルイ
シナリオ:百瀬祐一郎


現在軸(CD・ドラマパート)から2年前、つまりH歴元年の物語。山田一郎(17)、碧棺左馬刻(23)、飴村乱数(22)、神宮寺寂雷(33)の四人がメイン。かつて日本を制した伝説のチーム・The Dirty Dawgの結成と解散までが描かれる。

 

山田一郎(と二郎・三郎)について

【イメージ】

  • 三兄弟は幼い頃に両親を亡くし、以降は両親から相続した古い一軒家で三人仲良く暮らしている
  • 一郎は中高生の時からバイトを掛け持ちして、弟たちを養ってきた
  • そんな長男の姿を見てきたからこそ、弟たちは兄のことを尊敬してやまない
  • 高校時代の一郎は、左馬刻に憧れて不良をやっていた
  • 不良だけど、正義漢なのは昔から変わらない

【現実】

  • 両親がいない事情は不明だが、三兄弟は児童養護施設で暮らしている
  • ゆえに、高校生の一郎が弟たちを養っているというわけではない
  • 二郎(15)と三郎(12)は、施設長を父親のように慕っている
  • しかし一郎は施設長をめちゃくちゃ嫌っている様子。そんな一郎のことを、二郎が「クズ」呼ばわりしている。一郎のことを、二郎が「クズ」呼ばわりしている(大事なことなので二回言った)
  • 三郎も、施設長に対して当たりの強い一郎の存在を「恥」だと思っている
  • 第一話の時点で、まだ一郎は左馬刻と出会っていない →不良になったのは左馬刻の影響ではない
  • 不良といってもクローズ寄りの不良ではなく、金融屋で借金取り立てのバイトをしているウシジマくん寄りの不良

 

(^ω^)

抱いていたイメージは、ことごとく外れてました。え、私、君らの暮らしてる一軒家の間取りから築年数まで色々考えてたんだけど?

 

「二郎サッカー上手なのね可愛い」「三郎は小学生にして数学オリンピック優勝ってさすが神童」「一郎のピアス穴、TDD結成前はまだ空いてないんやね…」とか思うことは色々あるんですが、とりあえず、

  • 一郎が施設長を嫌う理由
  • 二郎の中で一郎が「クズ」→「神」に変わる間に、いったい何があったのか
  • 第一話で早速お披露目される、一郎の偽善者っぷり

これらに絞って考えていきたいと思います。

 

なぜ一郎は、施設長の鳳仙玄鳥を敵視するのか?

現役の不良といえど、二年後には「誰からも慕われている」(公式サイトより)兄貴キャラにまで成長する一郎。そんな彼が、仮にも兄弟共々世話になっている施設長の鳳仙に、手首を掴まれたくらいで

「今すぐこの手を離さねぇとぶっ○すぞ」

と凄むのには、よっぽどの理由があると思うのです。

そこでその理由について、仮説を二つ立ててみました。

 

仮説1:鳳仙の正体が実は悪者だと知っている

第一話の、三ページしか登場していない段階で「悪者」だと断ずるのは、鳳仙に申し訳ないのですが(笑)

実は鳳仙は、施設の子供たちに対して父親のように優しく接している裏で、とんでもない悪事を働いていて、一郎だけがそれに気がついている。その悪事のせいで、一郎たちの両親が亡くなったか、あるいは両親と一緒に暮らせなくなったかしていたら、一郎の鳳仙に対する敵意に、なおのこと説明がつきます。

本当は一郎も、そんな悪人の世話になんてなりたくない。可愛い弟たちを悪人の手に預けたくない。しかし、弟を養う金も力も持たない今の自分ではどうすることもできず、やむなく鳳仙の施設で暮らしている。そこで、精一杯の敵意と反意を込めてのあの塩対応

鳳仙が悪人であることをバラせば、幼い弟たちに危害が加えられるかもしれない。また、施設長を純粋に慕っている弟たちが、きっと傷つく。だから鳳仙の悪事は、ひとり胸の中に仕舞っている。

一郎は18歳になって自分が施設を卒業する時、弟たちも一緒に連れて共に暮らそうと考えていることが、作中の描写から窺えます。二郎と三郎を鳳仙の手元に置いておくのは不安だから。施設を去れば、いざという時に彼らを守れなくなってしまうから。

というわけで、「鳳仙=悪人」と仮定すれば、つじつまが合います。

 

仮説2:そういうお年頃&借金取り立てのストレス

私は99%、仮説1が正しいんじゃないかと睨んでいますが、こういう可能性も一応あるかなーと(笑)

多分、腐っても正義漢というのが一郎の本質なのでしょう。しかし、17歳の彼が金を得るためにやっていることは、借りた金を返さない男を妻子の目の前で痛めつけ(暴力行為自体は、一郎は行っていないですが)、一家の明日の生活費を無理やり奪うという仕事。「金を返さない奴が悪い」といくら自己正当化したところで、一郎にとっては自らの正義と良心を裏切るに等しい行為だと思います。

いくら弟たちを養う金を早急に貯めるためとは言え、こんなの繰り返していたら、多感な心は死んでいきますわな。

そういうわけで、溜まりに溜まったストレスを、「親代わり」を自称する施設長の鳳仙にぶつけているわけです。子の親に対する一種の甘えみたいなもんです。

 

二郎が一郎を「神格化」するようになるまで、何があったのか?

「あんなクズ」呼ばわりする対象を神格化するようになるって、相当衝撃的なイベントが必須ですよね。あるいは前頭葉に物理的刺激を与えて洗脳するくらいしか思いつかない(笑)

そもそも、三兄弟(一郎と二郎・三郎)は子供の頃から仲が悪かったわけじゃないと思うんです。児童養護施設の壁に、三兄弟が仲良く並んでいると思われる絵(恐らく幼少期の二郎か三郎、どちらかが描いた)があるので。絵の左端が吹き出しで隠れているため分かりづらいですが、まあ一郎が描かれていると考えるのが妥当でしょう。よって、15歳の二郎が「一郎=クズ」と見なす理由は、彼が恩人の鳳仙に対してひどい態度を取っているからだと解釈します。

 

ここで仮に「鳳仙=悪人」という、上述の仮説1を採用すれば、一応イベントができそうかな、とは思いますね。

たとえば、二郎と三郎もとうとう鳳仙の悪事を知ることになって、彼らもろとも悪事の証拠を消そうとした鳳仙から、一郎が身を挺して弟たちを守る。そこでようやく、「一郎=クズ=育ててもらっている恩を仇で返す不良」という認識が、二郎と三郎の中で改められる。兄ちゃんはすでに知ってたんだ、知ってたけど俺たちを庇って、あえて嫌われ役を演じていたんだ、みたいな。

これによって、「鳳仙=父親/一郎=クズ」という構図が、「鳳仙=クズ/一郎=庇護者」に転換するわけですね。

 

しかし、そこから更に神格化となると、同時に凄まじいショックを二郎に与えなければなりません。

神、すなわち絶対的存在。カリスマ。

ここでさらに、ヒプノシスマイクを登場させます。H歴元年、ヒプノシスマイクはまだ限られた人間(革命を起こした女たちやその仲間)しか持っていない。そのマイクを使って、二郎と三郎の目の前でなんかすごいリリックとフロウを駆使し、一郎が鳳仙を倒す。ヒーローが悪者を倒すという、分かりやすい図。しかもヒーローが持っている(使っている)のは、二郎や三郎にとっては未知の武器。

単純に、「兄ちゃんかっけー!」となることでしょう。

庇護者であり、同時に強い力を持ったヒーローでもある。この劇的な印象の上書きが、「クズ」→「神」という極端な思考転換を、二郎の脳内に起こさせたのではないでしょうか。

 

ただ問題は、上の予想(妄想)だと、公式の二郎のキャラ設定と矛盾が生じてしまうことです(致命的)。

 

皆に慕われる兄・一郎の背中を見て育ったため、兄のことを神格化し、自身も不良になった。

公式サイトのキャラクター紹介より

 

不良時代の一郎が、マイクを使って悪者(鳳仙)を倒した。ゆえに不良時代の一郎に憧れて、二郎も不良になった。そこまではこじつけられそうですが、「皆に慕われる兄・一郎の背中を見て育ったため」という点がどうにも……。

そもそも第一話の時点で、一郎が皆に慕われているという事実を窺わせる描写ってないんですよね。一話は、女性による政権奪取と四人のざっくりした紹介に留めているだけで、二話目以降にそういう描写が出てくるかもしれないのですが。

 

さらに「一郎の背中を見て育った」描写もないんですけど、これはいったい。だって15歳の二郎は一郎のことを絶賛「クズ」呼ばわり中だし……。仮に二郎の中で一郎に対する神格化が起こって以降、その背中を見て育ったのだとしても、その間最大でわずか二年です。ちょっとよく分かんない。

無理やり作り出すとすると、鳳仙亡き後、施設を失い路頭に迷った子供たちの里親探しを、一郎が責任を持って行い、それを二郎と三郎が手伝ったとかかな。それなら、皆=子供たちに慕われるのも想像できるし。

 

あとこの妄想だと、山田家が抱える問題が、三兄弟と児童養護施設だけで完結してしまうので。そこは、せっかく結成するTDDの他メンバーにも絡んでほしいところ。

 

いや、「クズ」が「神」になるって、ほんと難しい(笑)私の想像力ではこれが限界なので、二話目以降に期待大ですわ。

 

※なぜ二郎と三郎にとって一郎が「クズ」になったのか。その悲しいすれ違いが、単行本第2巻(2019/10/17発売)の書き下ろし部分で明らかになりました。三兄弟の境遇、特に一郎(当時14歳)が不憫すぎる。ブクロ推しの方は読んで損はないと思います。

 

※山田三兄弟の過去については下記記事でも述べています。
【ヒプマイ感想】漫画「-Before the Battle- The Dirty Dawg」第8話:乱数の不穏な動き。簓と空却は退場の予感? そして過去編にもあの男が登場!

 

一郎の偽善者っぷりについて

左馬刻が言うところの「クソ偽善者の山田一郎クン」の片鱗が、早速現れていました。

自身が借金の取り立てを行った一家のドアノブに、その日食べる食料(ピザ)をそっと掛けて立ち去っていく姿。

これは、非情になりきれない一郎の優しさを表現しているのだと思います。が、捻くれ者の目には偽善的行為にしか映りませんでした。ピザ一枚で、あの家族の何が変わるというのか。一郎は毎日あの家族にご飯を持っていくことができるのか。

まあでもそんなことは百も承知で、それでも何かしたくて、ピザを置いていったのでしょう。一郎のそういう人間臭さは好きです。

しかし、ピザの掛け方による「解釈違い」論争が起こっていたのには笑いましたw

 

参考記事:漫画版ヒプノシスマイク、正義感の強いキャラが「ピザを縦にかける」という悪の所業を行い解釈違い発生

 

それにしても、一郎は過去に自分がどういう仕事をして金を得ていたのか、弟たちに明かしているのかな。個人的には隠していてほしいところです。

 

碧棺左馬刻について

【イメージ】

  • ヤクザ。妹とは離れて暮らしている
  • シスコン

【現実】

  • 第一話の時点では、妹の合歓(16)と二人暮らし
  • 重度のシスコン
  • 合歓ちゃん、お胸が大きい
  • 仕事仲間から「西口公園で一旦集合」と言われていることから、イケブクロ近辺に住んでいる?
  • 職業は不明(多分ヤクザではない)
  • 現在軸に比べると、性格がいささか穏やか(そんなにキレやすくない)

 

妹の合歓ちゃん可愛い。左馬刻サマ、思っていた以上にシスコンだった(笑)

それと、妹や仕事仲間(相方?)がいるおかげか、性格が現在軸よりも穏やか。ドラマパートとかだと常に不機嫌な感じなのに。一郎が笑顔を見せないのに対して、左馬刻はこの頃の方が幸せそうだと思いました。情緒が安定している。

 

左馬刻が「裏切りは無しだ」と強調するのは、過去に裏切られた経験があるから?

「DEATH RESPECT」の感想記事でも書いたのですが、現在軸の左馬刻って信頼できる人間がかなり少ないんだと思います。「俺たちに裏切りは無しだ」と、銃兎と理鶯に対する強い仲間意識を歌うのは、猜疑心と孤独の裏返しかと。

だから、過去に仲間を信じて手痛い裏切りに遭った経験があるのかな、と思っていました。その経験とは、具体的にはTDDの解散の要因となるもの。特に、目にかけていた山田一郎との関係の決裂。それらは左馬刻にとって「裏切り」に等しいものであったのかな、と。

 

しかし、過去編を読んでみると、TDD以外にも左馬刻の仲間っぽい人間がいるじゃないですか。しかも糸目の関西弁キャラって。こいつ確実に中盤~終盤にかけて裏切ってくる奴やろ(偏見)

ただでさえ壮絶な生い立ちを抱える左馬刻の心に更なる傷が与えられるのは、想像すると胸が痛みますが。左馬刻は怒りや憎しみを強さに変えられるキャラだと思うので、過去編でバンバン傷ついていってほしいですね。

 

【2019/11/07追記】
「裏切りキャラ」と思ったら、白膠木簓、フツーに良い人でした……。偏見イクナイね。

関連記事:【ヒプマイ感想・考察】新ディビジョンという沼~どついたれ本舗(オオサカ・ディビジョン)編①~

 

妹と一緒に暮らせなくなった理由は? 中王区への敵意と関係している?

二年前までは、妹と一緒に暮らせてたというのにビックリしました。関係は至って良好だし。

現在軸の左馬刻が妹と離れて暮らしているのは、もちろん18歳になった合歓ちゃんが独立した可能性も無きにしもあらずですが、中王区に離別を強制されたのでは、というのが私の予想です。

左馬刻がヤクザになったのも、妹を守るためだしね。ということは、巨大な力(権力)に妹を人質に取られて、その身の安全を保障する代わりに、極道の世界に入らされた、と考えると筋が通ります。なんでその巨大な力は左馬刻をヤクザにさせたかったのか、という疑問は残りますが。

 

また、H法案可決を伝える緊急政府放送を観た後の左馬刻の反応は、「男全員が女に喧嘩を売られている→その喧嘩買うぜ」程度のものです。TDDの結成の話に乗り、更にその解散後もM.T.Cを作って「打倒中王区」を目指すに至るまでのモチベーションとしては、これでは足りない気がする。

だから、「中王区を倒せば(隔てている壁をぶっ壊せば)妹とまた暮らせるのではないか」レベルの切実な願望が、左馬刻の中王区への敵意を支えていると思うのですが、どうでしょう。

 

神宮寺寂雷について

【イメージ】

  • 日本で診療所を構えている
  • 現在軸とあまり変わらず、天才的手腕でたくさんの命を救っている
  • しかし、親しい人間を自らの手で救えずに、失ってしまった過去がある

【現実】

  • 戦況の激しい「某国」の治療所で、多くの負傷者を救っている(恐らく紛争地帯を巡っている?)
  • 寂雷一人のおかげで死者が劇的に減っているにも関わらず、自身の無力さを嘆いている

 

一人だけ生き方や悩みのスケールが違うんだけどw

「某国」に笑いました。紛争地帯で苦しむ負傷者を治療してまわって、それでも万人の命など救えるはずもなく、「私は無力だ」と嘆く先生、どんだけ聖人なの? だてに「迷宮壁」歌ってないわ~。

 

身を削る意味を履き違えて この身を滅ぼす民を この目で何人も見てきた

※「迷宮壁」歌詞より引用

 

これ、文字通り「見てきた」んですね。人間同士が戦い傷つけあう様を、間近で。

しかし、全ての命を救おうとする寂雷の願いは、一方では驕りとも取れますね。「ブラックジャック」の天馬先生だったら叱ってくれそうだわ。

それと、「某国」治療所における寂雷の助手・神奈備 衢(かんなび よつつじ)が登場しました。

 

なあ、息絶えたアイツだって 生きたかったはずだろ

※「迷宮壁」歌詞より引用

 

「迷宮壁」で歌われている「あいつ」って、特定の人物のことを指しているのかも、と以前から思っていましたが。ひょっとして衢くんのことなのかな?

 

西暦最後の年における、世界の状況

西暦最後の年=H歴元年の世界の状況って、割と悲惨です。

  • 第三次世界大戦後という設定
  • その大戦により、世界人口の三分の一が失われた
  • 権力者たちは武力による争いを回避しようとする
  • にも関わらず、争いは今も各地で続けられている

 

人類は学習しないし、紛争地帯での犠牲者は増加の一途を辿るし、「世界平和」なんて到底実現不可能な概念でしかない。

だからこそ、政権を奪取した「言の葉党」党首は

「戦争を止めない愚かな男共に変わって――……世界は女性によって新生する!」(本文pp.38-39より引用)

こう高らかに宣言し、革命を成し遂げたわけですね。

 

寂雷にとって、武力による戦争のない世界は本来歓迎すべきもの

この放送を観て、寂雷は「H法(武器の製造禁止、既存の武器の廃棄)が本当に実現したら、紛争地帯はなくなる→犠牲者がいなくなる」と、当然考えるわけです。

しかし、新政権に100%期待を寄せるというわけではなく、とりあえず事態の静観を決め込みます

これは、政府放送の中で「言の葉党」がヒプノシスマイクを使って革命を行う様子(既存の政府がマイクの威力で倒れていく様)を観て、「ヒプノシスマイクも所詮、相手を傷つける武器でしかない」という本質を、いち早く見抜いたからではないでしょうか。

だから、「言の葉党」が統べる世界=武力による戦争のない世界というものに対して、懐疑的。彼女らはH法を謳いながら、ヒプノシスマイクという新しい武器を使っているから。

 

そう考えると、ヒプノシスマイクは極力使いたくない(相手を無力化するために使いたくない)と、寂雷が言っていたのにも納得がいきます(「音韻臨床」Drama Track 1)。確かに既存の武器とは質が違うけれども、相手にダメージを負わせるという点では、既存の武器もヒプノシスマイクも変わりませんからね。

よって、寂雷にとって本来歓迎すべき世界が到来したにも関わらず、彼は後に、「打倒中王区」の道を選ぶことになる。このイデオロギーの確立されていく過程は、過去編で見られそうだな、と思います。

 

【2019/11/29】追記:
とかなんとか悠長に構えてたら、中王区、乱数どころか寂雷も利用する気満々ですやん……。乱数を通して、寂雷は彼女たちの魂胆を知ったのだろうか。そりゃあアンチ中王区にもなりますね。

関連記事:【ヒプマイ感想】漫画「side F.P & M」第11話:飴村乱数の正体と目的が判明。無花果の下す非情な命令に、どう動くのか……?

 

飴村乱数について

【イメージ】

  • 昔から可愛い
  • デザイナーの卵
  • 中王区(無花果)と手を組むようになったのは、H歴になってTDDを結成してから

【現実】

  • 可愛い上に、自身の見た目をフルに使っては、街頭でモデルを探したり営業したりしていて、ビジネスパーソンとしてたくましい
  • ロリポップの棒をペッと地面に吐き捨てる(嘘やろ?)
  • 喫煙者
  • 女性が政権を奪取する前から、無花果と組んで暗躍していた。ゆえに、いち早くヒプノシスマイクを手に入れ、使いこなしている
  • 「人間って面白いな~」と、どこぞの臨也みたいなことを言っている

 

地面にゴミ捨てたら駄目だよ!

「Know Your Enemy」でも無花果(現在軸における政権のNo.2)と通じていることが明らかにされていた乱数ですが、二年前からすでに只者ではなかったんですねー。無花果と共に全てを掌握し、裏で操っている感じです。「Drops」の可愛い乱数ちゃんはどこに行っちゃったの?

あと、小学生のようなルックスで目を眇めながら煙草を吸ってるって、現実にいたらヤバイよね。

 

TDDは、無花果と乱数によって結成「させられた」チームだった

第一話から拾える情報と言えば、こんなところです。

  • 乱数は「言の葉党」の革命、及び緊急政府放送が流れることをあらかじめ知っていた
  • 「言の葉党」政権(新世界)のビジョンも承知している
  • 一郎、左馬刻、寂雷を「対象者」「彼ら」と呼び、居場所を把握している
  • 「言の葉党」党首を「偉そうなババア」と思っている
  • 無花果と手を組んでいるものの、乱数は乱数で思惑がある?

つまり、TDDは四人が偶然出会って意気投合して結成したチームではなく、乱数(と無花果?)がメンバーを選定した上で、「新しい世界」のために結成させられたチームだったわけです。

また、わざわざ党首とではなく無花果と手を組んでいることから、乱数は「言の葉党」の真の実力者が誰なのかを見抜いているのかな? と思います。ということは、「言の葉党」も一枚岩ではない可能性が出てきます。

 

ヒプノシスマイクはなぜ男たちの手に渡ったのか?

軍(男)より先に、女たちの手によって開発に成功したヒプノシスマイク。そのせっかくの武器がなぜ、男(TDD)の手に渡ったのでしょうか。それは、無花果はどうして乱数を使ってTDDを結成させたのか、ということにも繋がります。

まず、男たちにヒプノシスマイクを与えた理由として考えられる可能性は、

  1. ヒプノシスマイクの性能をさらに研究し、向上させるためのデータ収集が必要だった(要するに実験)
  2. 武力を奪われた男たちのフラストレーションによる反抗を危惧して、ガス抜きをさせるためにヒプノシスマイクを与えた
  3. 男たちの潰し合いを企図して、ヒプノシスマイクを与えた
  4. ヒプノシスマイク(言葉)による戦闘に慣れさせることで、男の兵器操作能力や肉体的戦闘力の衰退を期待した

これくらいでしょうか。

 

「1」と「4」は、二年後に女政権によって開発される「ヒプノシス・キャンセラー」にも繋がると思います。男たちがヒプノシスマイクを散々使ってくれたおかげで沢山のデータ収集が可能となり、ヒプノシスマイクを使って戦うことに慣れきった男たちへの支配を更に強めるために、マイクを無力化する「ヒプノシス・キャンセラー」を開発した、とかね。

「2」と「3」は、過去編から二年後の現在軸において、男たちが「打倒中王区」の下に一致団結しておらず、それどころか「ディビジョン」ごとに分裂して争い合っていることからも、説得力があると思います。本来ならテリトリー・バトルなんてやっている場合じゃないんですよ、彼らは。バトルは中王区の女たちにとってもはや娯楽と化してるし。

 

要するに、潜在的な反乱分子(男全員)の無力化と分裂。これを目論んで、まずその種まきとしてTDDを結成させ、乱数以外の三人にもヒプノシスマイクを与えたのではないでしょうか。そしてTDDに立ち向かう新たなチームが勝手にできて、その彼らにもマイクを与えて潰し合わせる……みたいな。

 

TDDがただの種まきとして結成されたチームなら、TDDが解散し、各メンバーがそれぞれのディビジョンの代表チームのリーダーになるのも、自然な流れですね。実力者四人が同じチームにいるよりも、そっちの方が、ディビジョン同士の争い(潰し合い)が苛烈になるから。

ということは、もともとTDDは解散前提で結成されたのか……? となると、解散には乱数と無花果の意志が大きく介入してきそうですが、ここまでくると「ヒプノシスマイク」というコンテンツ自体の根幹に関わってきそうなので、妄想はここらへんでやめにして、とりあえず今後の展開を楽しみに待っています。

 

2月号に第一話が再録されるらしいよ

「少年マガジンエッジ」2019年1月号の紙版の在庫があまりにもないため、2月号への再録が決定したそうです。

 

1月号を無理に手に入れなくても、2月号から楽しめますね。

 

漫画アプリ「Palcy(パルシィ)」でも読めるよ

本記事で取り上げた「ヒプノシスマイク -Before the Battle- The Dirty Dawg」、及び「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- side B.B & M.T.C」は、漫画アプリ「Palcy(パルシィ)」でも読めるそうです。

 

読めるようになるにはもう少し時間がかかるようですが、ゆっくり読みたい方は、アプリを使うのもいいですね! 私もヒプマイのためにアプリ入れましたw

 

まとめ

こんな長ったらしい考察(妄想)を最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

いやー、もう新しい情報が盛り沢山すぎて、過去編だけで頭爆発しそう。けど現在編も楽しみですね!

 

他雑誌についても紙版の入手はハナから諦めているので、電子書籍版(またはアプリ)で追っていきたいです。

すと子

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